きょうかいせん
出ました~「すとと恋愛」シリーズ(勝手にしてろ)第…何弾?樹・きょも・北斗書いたから…第4弾!です!
高地大先生です!高地さん書きづらそう…一番年上なので、年上キャラで行きます!もう先生で行きます!(雑)
-----------------
「ゆーごバイバーイ!」
「じゃあな高地!」
「高地"先生"なっ!」
生徒が帰宅したり部活に向かったりで慌ただしい放課後、私の想い人は今日もたくさんの人に囲まれている。やっぱり人気者なんだなぁ、と改めて思い知らされる。こんなんじゃ、距離を縮めたりなんて無理すぎる。
「見過ぎじゃね?」
「!?」
俯きながらトボトボと歩いていると聞こえてきた声。それは間違いなく私の大好きな化学の高地先生だった。紛れもなく、私に話しかけている…よね?おそるおそる返事をする。
「な、なんのことですか…」
「お前、さっきからずっと俺のこと見てただろ」
「自意識過剰って言葉はご存知ですか?」
「敬語で丁寧に罵るのやめろ。」
ポコッとふざけて軽く頭を叩かれる。心臓がうるさい。
「ていうか◯◯さ」
名前で呼ぶのは反則です、先生。
「化学、赤点な」
…難しいテスト作るのも反則です、先生。
「1問100点にしません?」
「そんなこと言ってから成績上がんねぇんだろ馬鹿」
教師に馬鹿って言われた…でもそれが先生ならいいかな。なんて思う私はMですか?というか…
「赤点て…私どうしたらいいんですか?」
「補習に決まってんだろ」
「英語は補習なかったでーす」
「俺化学のセンセイ。おーけー?」
補習対象者の私に不敵な笑みを浮かべる先生は、小悪魔ではない。悪魔だった。
「明日の放課後から1週間、化学準備室な」
「せんせー、誰も来ません」
「赤点はお前だけだからだよ分かれよ馬鹿」
我ながら恥ずかしい。先生と二人っきり!なんて思っていたけれど、忘れかけていた。私は赤点を取ってしまった「馬鹿」なのだ。今日から嫌いな化学をみっちり補習。鬱でしかない…
「じゃあ、まずは基礎演習からなー。」
地獄なのか天国なのか分からない1週間の始まり。
「お、満点。やりゃあ出来んじゃん」
そりゃ誰だって好きな人に褒めてほしいしいいとこ見せたいと思うじゃないですか。私はこの1週間放課後の補習だけでなく、自宅に帰っても化学の勉強に力を入れた。高地先生に、褒めてほしいから。
「YDKですから」
「え?やらないからできなかった子?」
「…なんでもないです」
「嘘だよ、やればできる子◯◯ちゃん?」
そういうと先生は、私の頭を優しく撫でた。突然のことで驚いて、顔が赤くなるのを隠す暇もなかった。
「顔赤(笑)照れてんのかー?」
「うるさいです先生」
「好きな人にされたみたいな反応だな(笑)」
…無自覚。馬鹿はどっちだ。あーそーですよ。今私は好きな人に頭を撫でられて照れてますよ。そしてそれに気付かれないで好きな人本人にからかわれてますよ。みじめだなぁ。ていうか、叶わない恋ってこんなに辛いのか、と改めて思い知らされた瞬間だった。
「…ばかこうち」
「あ?誰が馬鹿だって?」
馬鹿だよ。女の子の気持ちに気付かないなんて馬鹿。…でも、
「私の、好きな人は、先生だよ」
でも、気持ちのセーブも出来ない私も、また馬鹿なのだ。
「…明日追試だろ、早く帰って寝ろ」
突き放さないで
「やだ」
嫌いにならないで
「もう補習は終わりだろ?1週間お疲れ様」
冷たくしないで
「先生が好きなの、先せ」
「っるせーな!」
凍りついた。その場の空気も、私の心も。嫌われた、そう思った。縮まったと思っていた距離は、遠くなった。いや、遠くなったんじゃない。元々近くなんてなかった。距離はいつでも「教師と生徒」。一定だったじゃないか。何を思い上がっていたんだ、私は。
「…じゃあな。」
先生の背中は冷たくて寂しくて、遠かった。
私の恋は、終わった。
「最近高地来なくねー?」
「ゆうごの化学じゃないとつまんないー」
先生が来ない。出張と聞かされてはいるが、今までこんなことはなかった。「授業に穴を開けたくない」といつでも生徒を思いやる、優しい先生だから。私はそんな彼を好きになった。
「なぁ、高地辞めたりしてねーよな?」
隣の樹が話しかけてくる。私の脳裏に嫌な妄想が広がる。
「お前、高地と仲良かったじゃん」
「…別に、仲良くないよ」
「えー?そう?仲良いように見えたんだけどー」
続けてジェシーも話に加わる。一体彼らの話の根拠は何なのか…
「だって化学の補習してたじゃん?」
「…?それは私が赤点だったから…」
「俺も赤点だったぜ?」
「俺も俺もー!」
思考回路が停止した。ジェシーも慎太郎も赤点だった?でも補習は受けてない。だって先生が「赤点はお前だけだから」って…私の困惑状態を知らずに周りのみんなは話し続ける。
「俺さー化学係だから高地に持ち物とか聞きに行くんだけど、いっつも誰かを目で追ってるんだよ。んで見つけて安心したよーな顔すんの。誰だと思う?」
過度な期待は禁物。でも
「お前。何?どういう関係…って、ちょ、どこ行くんだよ!」
知らない。何も知らない。もう迷ったりしない。
「先生」
何年好きでいると思っているんだ、馬鹿はどっちだ。先生が学校で好きな場所くらい、知ってる。
「…朝のホームルームサボって何してんだ」
「先生こそ、仕事サボって何してるんですか」
「もう先生なんて呼ぶな」
突き刺さった。もう、完全に嫌われてしまったのだろう。でもそんなことで、凹んだりしない。もう、気持ちに背いたりしない。
「先生、何で私だけ補習したの?」
「…」
先生は答えない。
「先生、私ね、先生と目が合ったんだって、いつも喜んでた。だって偶然にしては何回も合うんだもん。…先生、私のこと、目で追ってたんでしょう?」
「だから、もう先生だなんて呼ぶなって言ってんだよ馬鹿」
「だって、私は先生のことが…」
「俺は先生じゃないっつってんの!」
もう完全に突き放された。そう思ったとき、目の前の先生の手に握られていたものが視界に入った。
「……なんですか、これ…」
「どっからどうみても辞表だろ、しかも受理済み」
「何してるんですか!?」
先生が辞めた?先生じゃない?もうこの学校にはいない?私は、何を糧にして学校に来たらいいの?もう、会えないの?そう思った途端、私の目から大粒の涙が溢れ出た。
「え、ちょ、〇〇…!?何で泣いて…」
「っせ、先生が…いないんじゃ、がっこ、くるいみ…ない……」
必死に絞り出した声。必死に伝えたい想い。その瞬間、身体が抱きしめられた感触がした。
「……せんせ…?」
「『俺は先生じゃない。先生だなんて呼ぶな』…意味分かるかな、お馬鹿ちゃん?」
見上げると、ニヤリとした顔。可愛い子どものような顔。大好きな顔。ずっと会いたかった顔。
「わかんない…」
「…もう俺は教師じゃない。つまりお前と俺は生徒と教師じゃない。…これ以上、言わせんな」
「…お馬鹿ちゃんだから、教えてください?」
「………ムカつく、馬鹿」
学校には、鐘の音と生徒の声。先生、じゃなくて彼の好きな屋上には、他愛もないことで笑う私達の声が響いていた。
-----------------
はぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー先生大好きだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー禁断の恋アーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー